レイモン・サヴィニャック展

優先順位はかなり低かったが、会期終了(7.3)に近い今、行くことにした。理由は普段美術館に行かない友人が(動機はともあれ)この展覧会に行ったから。大阪港天保山サントリーミュージアムにて。
(展示会の公式サイト)http://www.odeon.jp/savignac/
レイモン・サヴィニャックRaymond Savignacは1907年生まれのフランスのイラストレーター。太めの線とはっきりした色使いが特長、と言えるのかな。この人は41歳で芽が出たと友人から聞いていたが、はたして1948年に発表した牛乳から作られた石鹸『MONSAVON』のポスターが、売れっ子となるきっかけになった。当たる前の会社勤め時代は勤務中の態度が悪かったり、チェスをしていたのが原因で解雇されたりと、どうしようもなかった時代もあったようだ。日本では森永チョコレート、サントリー、豊島園のポスターにこの人のイラストが採用されている。森永のポスターは、女の子と椅子に乗った男の子が一緒に、一枚の大きな板チョコをかじってニッコリしているもの。Yoplait(ヨーグルトブランド)のポスターも展示されていた。乳牛が仰向けになってオッパイからミルクが吹き出していて、ヨーグルトの容器で受けるという構図。
印象に残ったのは社会へのメッセージ性を持ったポスター。その中で1984年発表の「女性を性的産業の搾取対象にしてはいけない!」というメッセージを伝えたものはすごかった。女性の身体を、工場の機械に見立てたポスター。詳細を書くのははばかられるのでやめておくが、見たらいろんな反応が返ってきそうだ。
個人的に気に入ったのは2つ。(画像はこちら→)1つはEURO84のポスター。EURO84出場国(リンク先はwikipedia)の国旗をデザインしたボールを選手がお手玉のようにしている。ルーマニアは昔の国旗には真ん中に紋章が入っていたようだ。当時の決勝戦の場所はパリのパルク・デ・プランス、とポスターにある。現在パリSGのホームスタジアム。もう1つは1954年発表のperrierのポスター。一筆書きっぽいデザインが気に入った。もともとは1949年にコカ・コーラで使うつもりだったらしいのだがお蔵になってしまい(仏語カタログを立ち読みしたのでこの辺りかなり曖昧)ペリエで使われることになったようだ。
残念なことに、この2つのポスターが印刷されたポストカードをミュージアムショップで買おうとしたが、これらのデザインのものだけなかったのだ。せっけんのやつとか他の主力デザインは販売されていたのだが、これらだけはなかった。しかしポスターの画像はいくつかネット上で発見できたので、まあいいか。
見ごたえのある展示会だった。作品数も多く(ゆかりがあったためか?)、さすが自前の所蔵作品を出して企画を立てられる民間の美術館はイイ展示会ができるんだと思った。ギャラリーツアーの機会を逸してしまったことが悔やまれるけど、どちらにせよ私の都合がつかない時期だった。関西のみなさん、今週末はゴッホ展よりこっちですよ。