スクランブル


 日本海上空で8日、日本領空近くを飛行したロシア軍機2機に対し、航空自衛隊の戦闘機6機が緊急(スクランブル)発進したと同日、防衛省が発表した。
 同省高官は先に流れていたロシア側の報道を認め、ロシア軍機が日本領空付近に接近したのは、日本時間午後1時から同2時30分ごろで、空自のF15戦闘機を含む6機を発進させたと述べた。通常の行動だという。
 ロシア側のインタファクス通信(Interfax)、ロシア通信(RIA)は、ロシア軍の戦略爆撃機は訓練中で、日本海上空で日本の戦闘機4機と遭遇した後、追尾されたと報道している。
 ロシア軍関係者によると、訓練を行っていたのは北大西洋条約機構NATO)では「バックファイヤー(Backfire)」と呼ばれているロシアのTu22M型爆撃機部隊で、空自のスクランブル後、ロシア側はSu-27戦闘機2機を派遣し、予定通り訓練が完了するまで護衛させたという。同じ関係者は、空自のF15戦闘機は別々の基地から発進したものだとも述べた。
 空軍機のスクランブルといえば、この小説を思い出したんだ。
操縦不能 (新潮文庫)

操縦不能 (新潮文庫)

 この作品では、北朝鮮の亡命者をオーストリアから日本に輸送しているときに、北朝鮮から連絡を受けたロシア軍がその旅客機にスクランブルをかけたが、日本の空自が出てきて事なきを得る。今日のこのニュースを聞いて、一触即発の事態がこうもたやすく起こるのかと思うとゾッとした。作者の内田幹樹は元パイロット、ANAフェアリンクで飛んでいた人で、飛行機を舞台にした作品をいくつか発表している。2006年に亡くなったのだが、この人を教えてもらったのはつい一ヶ月前で、内田氏が亡くなった当時はその訃報にも大して関心を払っていなかった。もし今も生きていたなら、航空の専門家としての立場から自衛隊のあり方などについて議論に加わってらっしゃったかもしれない。
 内田幹樹はエッセイが有名らしく、いずれも文庫化されている*1
機長からアナウンス (新潮文庫)
機長からアナウンス第2便 (新潮文庫)

*1:文庫化に伴って改訂が加えられているようだ。他の小説もそうらしい